CVE-2026-27622: OpenEXRにおけるヒープ領域への境界外書き込みの脆弱性について

March 4, 2026 ·

概要

OpenEXRは、映画業界で広く利用されている画像ストレージ形式であるEXRファイルの仕様とリファレンス実装を提供するライブラリです。この度、OpenEXRのCompositeDeepScanLine::readPixels関数において、整数オーバーフローに起因するヒープ領域への境界外書き込みの脆弱性(CVE-2026-27622)が報告されました。

具体的には、ピクセルごとの合計サイズを計算する際に、攻撃者によって制御される大きなカウント値が多数のパーツにわたって蓄積されると、total_sizes配列の合計値が2^32を法としてラップアラウンド(整数オーバーフロー)する可能性があります。このオーバーフローした値に基づいてバッファサイズが決定されるため、実際のデータ量よりも小さなバッファが確保されてしまいます。その後、デコード処理中に真のサンプルカウントで書き込み操作が行われると、確保されたバッファの範囲を超えてデータが書き込まれ、ヒープ領域への境界外書き込みが発生します。

影響範囲

  • OpenEXRライブラリを使用しているアプリケーションやシステムが影響を受ける可能性があります。
  • 具体的には、以下のバージョンより前のOpenEXRライブラリが影響を受けると報告されています。
    • v3.2.6より前のバージョン
    • v3.3.8より前のバージョン
    • v3.4.6より前のバージョン

想定される影響

  • 攻撃者が細工されたEXRファイルを脆弱なOpenEXRライブラリを使用するシステムに読み込ませることで、アプリケーションがクラッシュし、サービス拒否(DoS)状態に陥る可能性があります。
  • 最悪の場合、ヒープ領域への境界外書き込みが悪用され、任意のコード実行につながる可能性も指摘されています。これにより、攻撃者がシステムを完全に制御する恐れがあります。

攻撃成立条件・悪用状況

  • 攻撃を成立させるには、細工されたEXRファイルを脆弱なOpenEXRライブラリを使用するアプリケーションに処理させる必要があります。
  • 現在のところ、この脆弱性の具体的な悪用状況については不明です。

推奨対策(優先度付き)

【最優先】OpenEXRライブラリのアップデート

以下のいずれかのバージョン、またはそれ以降の修正済みバージョンへ速やかにアップデートすることを強く推奨します。

  • OpenEXR v3.2.6
  • OpenEXR v3.3.8
  • OpenEXR v3.4.6

一時的な緩和策

現時点では、根本的な解決策はアップデートのみとされています。

もしアップデートが直ちに困難な場合は、信頼できないソースからのEXRファイルの処理を制限する、またはEXRファイルを処理するシステムをネットワークから隔離するなどの対策が考えられますが、これらは一時的な緩和策であり、根本的な解決にはなりません。

確認方法

ご使用のシステムやアプリケーションが利用しているOpenEXRライブラリのバージョンを確認してください。バージョンがv3.2.6、v3.3.8、v3.4.6より古い場合は、脆弱性の影響を受ける可能性があります。

参考情報